淘汰の国のアリス | ナノ

「……何?…ッきゃあああ!!?」
固い木のような丸い何かを踏んだので足元を見下ろしてみたら、そこには「樹海にはつきものの見てはいけない物」が横たわっていた。生きた気のしない真っ白な肌、金髪のショートヘアーにボロボロの水色のドレス。というか生きてないのだから。全体的に薄汚れていていかにも投げ捨てられた感じだ。

しかも、それは至る所に無造作に捨てられていた。腕に、脚に、首に、中には原型をとどめてないものが多い。というか首と体が繋がっている物がまずなかった。

普通の感覚をしている少女ならまずこれを見てショックをしない者はいない。樹海でならある程度は覚悟していたものの、生身でこんな物を見てしまったのだからアリスは血の気の引いた顔を手で覆って震えているのもなんら当然のことだ。

だがジャックはもう見慣れたどころか薄ら笑みを浮かべている。

「あはは、びっくりしますよねぇ。大丈夫ですよ、ソレはいらなくなった人形です」
「…に、人形…?」

少し見を屈めてみると、確かに。踏んだ時も人を踏んだ感触にしては随分と固かった。髪なども本物と同じぐらいに精巧に、大変良く出来た人形である。

「…なんだあ〜…不気味ったらありゃしない。」
アリスはつんつんと人形をつつく。もちろん、反応はない。腕を掴めば簡単にもげてしまいわずかに驚いた。とても冷たい。

「そうですよね。いらなくなったからってすぐ捨てなくてもいいのに…」
気づいているのかないのかジャックは普通に踏んでゆく。その様にアリスは軽く引いた。

「誰かのものなの?」
「うーん…女王様の玩具ってとこですかね。与えても与えても与えても、気に入らなかったり飽きたりしたらすぐ人目の付かない所にポイですよ。」

アリスはポイ捨てよりその趣味の悪さの方が気になっていた。

「趣味悪いわね。」
「キモい趣味ですね。」
同じ事を思っていたとはいえジャックはかなりうんざりしているようだ。同情する。





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