まだ腑に落ちないようだがとりあえず納得したアリスはあることに気づいた。
「そうだ!あなたについていけば私も不思議の国に…」
「君は別さ」
すかさず返された。
「なんで…なの?」
「君は不思議の国の住人じゃないだろう?アリスとはいえよそ者をそう簡単に入れるようにはしない。」
アリスの顔に不安を帯び、声にも自信がなく弱々しくなっていった。
「…え、でもそれじゃあ私…」
そんなアリスに対してピーターはやけに落ち着いた笑顔でこう言う。
「なに、とりあえず君…アリスは「お話」どうり僕を追いかけてくれればいい。」
「でも私が違う道を行くことになったら…兎さんと途中ではぐれちゃ…」
アリスがまだ何か言おうとしているにも関わらず、ピーターはくるりと背を向け扉の方へ駆け出した。
「運がよければ会えるさ。いずれにせよ会うんだから」
アリスは出来るだけ距離を離すまいとすぐに後を追いかけた。
「…ちょっと、待ってよ!!」
扉の向こうの闇に消える背中目指しむしろ衝動的に走った。扉を抜けると自然に重い音とともに閉まってしまい、辺りは暗く一層不安感が押し寄せてきたが小さい道標を追いまっすぐまっすぐ走り続ける。
息を乱すことなく普通に喋っても聞こえないぐらい距離を空けて走りながら、ピーターは呟いた
「…大丈夫だ。」
「君こそが本物のアリスに相応しい」
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