「…自分がそんな嫌われるような人じゃない…」
ジャックが冷たい笑みを浮かべる。
「…そういう人が嫌われるんですよぉ、アリス。」
「!!」
言い返したい。そんなはずないと言い返してやりたい。しかし出来ない。まるで全てを冷めたような目でこちらを見ている。
「…そうね、もしかしたらそうね…。でも!特別かどうかわからないけど…私と猫さんは友達になったのよ!」
「ふーん、それで?」
は次第に言葉に自信をなくしていく。だが、どうしてもこれだけは信じたかった。
「…だから、その…嫌いになるわけ…向こうも好きって!友達として!!」
だがもうアリスの方を見てはいなかった。もう言葉すら冷たさを帯びている。感情が読み取れない分不気味に感じた。
「それは本当に心から好きと言った確証はありますか?」
「……えっ…」
「相手の気持ちなんかわからないのに、自分の思い込みを押し付けるのはただのエゴってやつですよぉ。嫌われちゃいますよ?アリス」
今になって同じようなことを二度も言われたら余計心に刺さるわけで、アリスもこれ以上深く考えると不信感に駆られてやがて何も誰も信じられなくなりそうで更に怖かった。
特に目の前にいる、その人はまだ見えない仮面を被って道化のふりをして全てを見透かしているようにも感じる。
「あなたは一体何を考えているの?」
あまり聞きたくなかった。だがどうしても聞かずにはいられなかった。
「何にも考えてません。」
そんな単純な答えにさえ、不安を覚えてくる。
「…ていうか、アリスは少し人を信じすぎではないですか?」
「え?…そうかしら」
「そうでないなら普通「何を考えてるの」とか聞きませんよ。」
アリスは心の奥をこじ開けられたような感覚がした。こんな何考えてるかわからない相手ですら信じたいと思っていた。信じられる部分を見出だしてまで。しかし「何を考えている」と仮に聞いた場合、もしかしたら相手が「信じてもらえてない」と更に自分を隠してしまうかもしれないし、何より誰かを信じたいと思う自分から言いたくはない。
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