淘汰の国のアリス | ナノ


「ええ。…アリスが大体の確率で猫を飼ってるから…そんな理由。」
「へえぇ!?そんなの理不尽じゃない!?」
それを聞いた瞬間、アリスは驚きのあまり素っ頓狂な声をあげた。確かにアリスは猫を飼っている。だがそれとこの国で彼が嫌われる理由ては関係ないだろう。

「…世の中なんて理不尽ですよ。嫌いになろうと思えば無茶苦茶な理由をつけてでも嫌いになりますからね。逆に人を好きになるのは中々難しいもんですよぉ〜。」
「……」

それでも納得がいかなかった。

「それでも…嫌われるってことって悲しいことなの…」
「なんで悲しいのですか?」
すかさず問い返され、答えられようのない質問に頭を悩ませる。

「…なんでって……そんなの、わ…わからない…」
「言っておきますが、猫は嫌われることを悲しいともなんとも思ってませんよ。」
「…え?」
アリスからしたらどういう感情かわからなかった。ジャックは続ける。

「猫はね、周りに対して特別な感情を持ってないのですよ。ほら、好きでもなんでもない赤の他人に嫌われても仕方ないでしょ?」
「………自分が何もしてないのに知らない人から嫌われるのも嫌だわ。」
アリスも腑に落ちない様子だ。

「猫は自分のことを好きとも嫌いとも思ってませんし。」
「……でもそれって悲しくないかしら…?」
少なくとも自分に置き換えて考えた。
「悲しいって思ってるうちはやってられませんから。」

しかし人それぞれだ。本人がそう思うのなら自分の意見を押し付けるようなことはしたくない

「じゃあなんでアリスは嫌われるのがそんなにも悲しいのです?」
まさかふりだしに戻った。アリスは言葉が詰まる。





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