「――――……。」
ここはどこだろう
アリスは落ち葉や小さな雑草で横たわったたまま、ゆっくり瞳を開く。
「………森?――…ッ!」
身体を起こそうとした瞬間、全身に強い痛みが走った。その時、しばらくからっぽだった頭に今まで何が起こったかを思い出す。身体に走る痛みにぐっと耐えて近くの大樹に捕まりつつ立ち上がる。
「そっか…私、落ちたのね…」
つい最近の記憶、確か空を飛んでいた。大きな鳥の背中に乗って飛んでいた。向こうから沢山の鴉の群れに襲われて―…
真っ逆さまに落ちたのだ。
しかし、そこからの記憶が切り抜かれたようにないのはおそらく気を失ったからだ。この痛みも下一面に広がる森の奥に落ちた時の衝撃である。
「………デジャヴね…こういうのって…」
この国に来る時に、比べ物にならないぐらい深い穴から落ちた時でもアリスはほぼ無傷だった。今回はあの木々がクッションになって受け止めてくれたのだ。しかし今度はあの高い高い空からここまで落下してこの程度だからアリスもこれを奇跡だと言わないわけがない。かろうじて歩けるぐらい足は無事なものだから。
今までにないぐらい高い樹がこれ程にないぐらい沢山立っており道という物はまず見当たらない。空から入る光りを遮ってるおかげで森の中は薄暗く空気も湿り気を含みとても冷たい。
「………。」
獣の気配もない。それならとアリスは助けをこうように、寂しさを吐き出すように叫んだ。
「…誰かいませんかー!!?」
一人の少女はこだまとして返ってくることもなく、静寂に吸い込まれるて消えた。
「…………………。」
誰もいないなら止まっていたって仕方ない。やや痛みがおさまった身体を引きずるように森の中をさまよった。
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