淘汰の国のアリス | ナノ

「まあ…さっきのは僕も大人げなかったとして…。ようこそ、不思議の国へ。」
少年は手を胸にあて小さく会釈をした。
「僕の名前はピーター=クリム=スカーレット。好きに呼んでくれて構わない。」
アリスもスカートの端を摘んでお辞儀をした。
「私はアリス=プレザンス=リデル。私の方こそ好きに呼んでもらってもいいわよ!」
「じゃあ早速だがアリス。」
そう言うとピーターは身体を右に向け手を広げた。

「さっき僕らが落ちた穴は異世界とここを繋ぐいわば通路、そしてここは不思議の国の入り口みたいな所だ。」
次に前方にある扉を指差した。
「どの扉も不思議の国に繋がっているが筋書どうり…1番楽に行けるのはあの扉かな。」

アリスは他の扉を見回しながら
「他の扉を抜けるとどうなるの?」
と聞くと同じく扉を見回して言った。
「僕は他の扉から入ったことも危険な道を通ったこともないからわからない。でもあの扉の方が高確率で安心らしい。」
その答えにアリスは「ん?」と首を傾げた。

「高確率…ってどういうこと?」
ピーターはさも当たり前のように答えた。

「ああ、あの扉から入れば安心に不思議の国を回れる確率が高確率なんだよ。」
「…それってもし運が悪かったら危険な道に出てしまうってことじゃない!他の扉はもっとその可能性があるって…入り口がそんなでたらめじゃ危ないでしょ!!?」
アリスは納得できない様子で問い詰める。その気迫に少し驚くもすぐさま平然とした態度に戻る。

「仕方ないだろう。そんなこと言ったって全部「不思議の国だから」ってなるんだから…」
「でも…っ!じゃあ……」
アリスは速い呼吸を少し落ち着かせてからまた続けた。

「あなたはなんで険な道を通ったことがないの?」
「僕はどの扉から入っても普通に入れるのさ。不思議の国の住人はみんなそうなんだよ。」





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