淘汰の国のアリス | ナノ


「……………………!!」
もちろん、アリスは目を点にし開いた口が塞がらない。いまだに何が起こったか把握できていない。突然だったもの。


「……いやぁ〜…相変わらずいつ見てもすごいなあ…」
エヴェリンは荘厳と立つ不死鳥の羽を撫でる。どうやら(失礼だが)幻覚ではないようだ。
「いつもコレだったらなあー…」

「ハッハッハ、何を言うか。毎日懲りずにお主をつついてくれようぞ」
くちばしら開いてない。直接頭の中に響いてくる。
「…僕の固い甲羅では君でも無理だ」
「懲りずにつつく!」
「迷惑行為だよ!!!」

やはり中身はフィッソンだった。不死鳥がこんなふざけているとなんだか今までの感動も何もあったもんじゃない。いくらエヴェリンが同じ能力を使ったとしてスピード的にも色々不死鳥に敵うわけがないのだ。もっぱら海にでも潜られたらわからないが。

「…ニュースで見たことあるわ。獲物を見つけたら空から急降下して亀を捕まえる。そしてまた空に上がってそれを落とすの。甲羅が割れるまで」
「ぴゃああああああああああ」
こんな反応いちいちされるとつい余計なこと言ってしまいたいのである。

「…さあて、暫しこの素晴らしき姿を見せびらかしてみたいものだがこれがまた維持するのが疲れる。」

不死鳥という存在を維持するのはやはり難しいようだ。

「飛行中に体力無くなったら大変ですよアリス!さあ乗った乗った!」
とエヴェリンがアリスの後ろにまわり背中を押す。
「え、ちょっ、えぇ!?私がアレに乗るの!!?」
「不満なんですか!そんなこと言ったって今更どうしようもないですよ!?」
「違う!違うのそんなこと言ってるんじゃなくて…!」

しかし呆気なく、柔らかい地面の上ではアリスの抵抗も虚しく力任せに押されていく。


「ならいいじゃないですか!」
と一押しされ思わず前のてりに倒れそうだがバランスを保つ。目の前には黄金の毛並み。見上げればまさに絵本、いや図鑑か何かからそのまま飛び出したような幻想的なモノが堂々と立っていたのだからアリスはしばらく固まる。





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