淘汰の国のアリス | ナノ

「そこでだ!!!」
「わあっ!?」
なんだかデジャヴな気がする。

「アリスよ、我が何者か忘れてはおらぬか?」
その笑顔はすごく自信に満ちている。どこからその自信がくるのか謎だった。

「……不死…鳥?」
「そうだ、つまり鳥だ。鳥はどうやって移動する?」
「鳥……………ッ!?」
そうだ、アリスは思い出した。


「空を飛ぶわ…!」
フィッソンは深く頷く。しかしながら彼は動物の特徴となるものが何も見当たらない。生身の人間だ。羽はさておきくちばしが生えててもおかしいが。
「そうです!そうですよ!フィニ!早くアレになって!」

アレとは何だろう。フィッソンは待ってましたかと言わんばかりに「とりだした」のは黄金に輝く鍵のようなものだった。アレになるのか、鍵になるのか。くだらない事を考えていたその時だった。


ほんの一瞬だった。

まだ空が明るいというのにあまりにも眩しい光にアリスは危機的に強く目を塞いだ。一方、いつものようだと慣れている様子で目を閉じている。


瞼の裏からの光が弱くなってきた。そっと瞳を開く。







そこには信じられないものがいた。



黄金に輝く大きな翼、強靭な肢体、鋭い眼光を放っているその切れたような目。それが何かとははっきりした事は言えない。なぜなら今まで見たことないし一生のうちに見ることもないし、何よりその存在が何かは知っていたが決して存在するものではないのだ。




そう、目の前にいたのはまさしく。屈託なく笑っているおおらかな少年はいない。

空想でしか存在しえない伝説上の生き物、不死鳥。

フェニックスだった。






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