「…でも、よく考えたらそんなに悩むことなんかじゃないかもしれない…。」
「何言ってるんですかあああ!自分が何かわからないままはやっぱり悲しいことなんですよおおぉ!?」
「我は不死鳥だがな。」
さりげない主張を無視してアリスは
「だって、私達は今「存在」してるでしょう?」
と言ったが、それが彼らの求めていることにはなっていない。
「だから僕は何として…」
「誰がなんと言おうとあなたはウミガメもどきとして生きてるじゃない。周りがなんと言おうと、あなたはあなた…てことにはならないかしら?」
エヴェリンは反論する言葉を一瞬失うが腑に落ちないようだ。
「…周りから何と言われようと自分は自分だって認めちゃえば少しは楽に生きられると思うの。」
「今我がお主にバカだの海老だの言ってもお主はお主のまま、ということであろう。」
間に入ってきたフィッソンは確かに説得力がある。否定される半面信じるものには存在を認めてもらえる、そんな理屈以前に自分というものをしっかりと持っているように見えるからだ。
「…そんなのでいいんですかね〜…。」
自信に欠けた弱々しい声で誰ともなく呟いた。
「…私も今なら誰かから何と言われようと、「私はアリスよ」と言えるわ。」
そんなエヴェリンにあと一押しになるよう、または自分自身にそう言い聞かせるような迷いのなくなり清々しいそんなアリスに何かしら確信を持ったフィッソンは二人に聞こえるように言った。
「………ほう…今度の゙アリズはもしかすれば、かもしれぬな。」
「…なんだって!?…いや、でも…もしかしたら…」
アリス以外の二人がそーっと顔を合わせては深く頷いた。
「…?何?」
ついていけないアリスは小首を傾げる。
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