淘汰の国のアリス | ナノ


「で…フェニックスがどうかしたの?」
話が一向に続かないので待ちきれず急かすよう聞き返してしまった。雰囲気作りなのか否か、少し時間をためて相手を焦らしてから続ける。
「……どうもなにも、我がそのフェニックスというものよ。」
「へー、そうなの。……、はああぁああ!!!?」

なんとなく聞き流してしまいそう衝撃的すぎる発言にアリスは目を疑った。目の前で自分に語りかけている人物がまさしく空想上の、しかも伝説中の伝説の生き物だと言うのだからそりゃそうだ。ネズミやウサギなどまず比ではない。

「これは中々よい反応を見せてくれたの。」
「目の前にいるのが不死鳥ですって言われたら大体はそうなるよ…。」
エヴェリンのおっしゃってることはごもっともだ。

「でもそんなすごい方がなんでこんな所に?」

「…そこの、お主の話も聞かせてやらぬか」
「ええぇ…フィニの話だけで別にいいんじゃあ…」
あだ名を反対されればまともに名前すら呼んでもらえないそこの少年はアリスとフィッソンの「早く」と急かすような視線を集中的に耐えられず、癖なのかまたもハンカチで涙を拭うゆうな仕草をしながらしみじみと語った。

「…フィニはまだ空想の世界に存在しているじゃないですか。君も知ってのとうり不死鳥…ですが、あああ僕は!僕はなんということなんだ!一体なんのために生きているんだ!!!」
「落ち着いて!何があったの!?」
アリスの制止で我にかえったエヴェリンは深く落ち込んで話を続けた。

「……僕はウミガメもどき…なんです。知ってますか…?…し、知りませんよねえ…。」
「料理に使われるアレでしょ?」
「!!?」
エヴェリンは驚いて顔を上げた。フィッソンも興味深そうにこちらを見ている。各々の反応がアリスにとっては不思議なぐらいだった。





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