淘汰の国のアリス | ナノ


「水に浮かぶ泡が泡沫て意味なのね…見た所名前につけられるほど泡なんか見当たらないけど…。」

泡は多少は浮かんでいるのだろうが近くでも本当に見えるか否か程度で綺麗な海には白い波が立っていた。それを見てまたもや「相変わらず綺麗な海だなァ…」とひとりでに呟く。

「ハッハッハッハッハ!まあそう思うわな!!」
フィッソンは豪快に笑い、隣で海に見とれていたエヴェリンが驚いた。
「この海自体はお主のいる世界にも存在するだろうただの海にほぼ等しい。しかしだな…ここを訪れることの出来る者は…」
そう言った後、一息ついてやや物悲しげさを帯びた笑顔で

「我やこやつの様な「存在が曖昧な者」だけなのだ。」
「…存在が…曖昧…?」
いまいち意味が理解できないアリスに気付いたエヴェリンは軽くため息をついて補足をした。

「フィニは空想上の生き物、僕なんて何のために作りあげられたかわからない偽物でして…僕らはこの海で自分を嘆いているんです。」

それさえわからないアリスは更にどう尋ねようか言葉が出てこなかった。

「…とりあえず我らの生まれの話をするかのう。」
「…そうだね…。」
エヴェリンはポケットから白いハンカチを取り出し固めをおさえてる。どのような身の上事情が語られるのだろうか。アリスはスカートをぎゅっと掴む。



「…アリスよ。お主は不死鳥…フェニックスというものは知っておるか。」
「へ!?…まあ、知っているわ。」

唐突に物凄い名前から始まった事情話はきっと想像もしがたいぐらい壮絶なものなのかもしれない。だが当の語り手でもあるフィッソンは呑気に大きくあくびなんかしている。






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