淘汰の国のアリス | ナノ

「おいおい、随分と見苦しいのう。頭(こうべ)を上げよ、エリン。」
アリス達の後ろにはもう一人、少し年上ぐらいが小さい岩に腰をかけていた。鮮やかな金髪を一つに束ねている。見比べると二人はお揃いのストライプの入った紺色のブラウスを着ているが金髪の少年は多少気崩している上に長いコートを羽織っている。

一方エリンと呼ばれた少年をよく見ると地味な顔だが瞳は左右で色が違う。髪の毛もくすんだ灰藍色に白と黒の髪が生えており、どこか特徴的で異彩を放っている。服は比較的まともに着ていて、白と黒の縞の大きなリュックを背負って手にはスケッチブックを抱えていた。

「あなた、エリンていうの?」
エリンという名前には似合わない少年がそれを聞いてひどくうろたえた。
「だからその呼び方やめてくれるかなあ!特に知らない人の前なら誤解されちゃうよおお…ねえ!?…あっ、あああああアリス!!?」
少年は金髪の少年の側きにまで勢いよく後ずさった。
「…ええ、あなた達も知っているのね。」

「ほう…アリスがまたきよったわい。なに、近う寄れ。」
金髪の少年は見た目の若さの割に老人のような口調とおおらかな振る舞いだ。アリスは側まで歩み寄れば近くに同じぐらいの大きさの岩があったので座った。

「先程はこやつが失礼した。我はフィッソン、こやつはエリ…エヴェリンと申す。ここは泡沫の海原。我らの憩いの場所だ、身を休めよ。」
「…泡沫の海原…」

アリスはそう呟けばフィッソンはこう続ける。
「泡沫とは水に浮かぶ泡という意味だ。」
「…はかないねェ…。」

しみじみとエヴェリンが言う。だがアリスは気にしたことがあった。





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