淘汰の国のアリス | ナノ

「……海だわ!」

目の前に広がっていたのはなんと海だった。どこまでも限りなく大きく空の色をまるでそのまんま映したような透き通った海に、白い砂浜は風に吹かれさらさらと微かに音をたてている。所々には大きな岩が不規則に立っていた。アリスは思わず砂浜て海辺の境目の前まで駆け寄った。

「……まあ…綺麗ね…。」
少し先まで見渡せば浅いのか底が見える。
「まさかここで海を見れるなんて思いもしなかったわ!…あー…、なんだか泳ぎたくなってきた!」

しかし残念、替えの服はおろか水着なんて持っているはずがないじゃないか!来たときから諦めはついていたが、アリスは大分落ち込んでしまった。ため息をはいては渋々海辺から離れ歩いては消える足跡を見下ろしながら近くの岩場にもたれ、スカートを折り込んで座った。

「…いたっ…」

足に何かが刺さったような気がしたので上げてみたら、そこには貝殻が落ちていた。ピンク色の可愛らしいうずをまいたような形だ。あることを思い出したように貝殻を拾っては穴があるかを確認した。

「たしか、耳にあてたら波の音がするんだってメリベルから聞いたことがあるわ。」

友達と会話した通りに、貝殻の穴をそっと耳に近づけた。


「………なんにもしないわね………。」
と落胆したら、わずかに波の優しい音が聞こえてきたのだ。
「…あ!聞こえる!聞こえるわ!!」
やがて音は大きくはっきり聞こえ、さざ波の音がアリスの耳や心を癒した。なんだかこのままゆっくりと時間が流れていくよう。

「落ち着くわ…。さっきまでのドタバタが嘘みたい。」

悠々と、穏やかな静寂で耳に響く自然の優しいメロディーはアリスの疲れまでも癒してくれた。





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