あの杖で何をするのか心配そうに見ているアリス。
シフォンはおもいっきり杖を横に振ればそれは杖の原型は全くない、黒く輝くリボルバーに似た銃器に早変わりしていたのだ!どうやら何かをすれば変形するらしい。アリスは呆然とその銃器を見つめている。
そいつを慣れたように構え迷わず引き金を引き、三人に向かって弾をぶっ放した。しかも何発も。
アリスも止めようとした。だがエアガン並の威力しかないようで直撃したら「痛い」だの「やめろ」だの喚いている。もちろん、止めるのが目的ではなくただただ怒りをぶちまけているシフォンは相手の言葉など知らんぷりだ。
「……もう!こんなのお茶会でもなんでもないわ!」
いつ自分に飛び火しかねないのを恐れ、アリスは席を立ち銃声と怒号のうるさいお茶会が開かれていたらしい場所を足速に急いで去った。三人は気づいておらず、延々と争いを繰り広げていた。
「…全く!危ないったらないわ…」
ようやく静かな森の中を不機嫌そうにぼやいて歩くアリス。今は何もない道でさえ心安らぐ場所だった。
「………ん?」
目の前にはとてつもなく巨大な樹が立っていた。苔は生え、ツルが至る所に巻き付いている。かなり大昔からあったような、年季を感じさせるような荘厳で威圧感のある樹だ。
その真ん中には、本来このような所にあるはずのないもの。大きな扉があった。
「…樹に扉があるなんて…向こうに続いてるのかしら…?」
樹の向こうにも道がある。もし何もなかったら向こうをそのまま通ればいいのだから、アリスは試しにその扉をゆっくりと押し開けた。
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