淘汰の国のアリス | ナノ



「彼女は人品のいい人だ。」
シフォンは一旦食べる手を止め腕を組みアリスを褒めた。当のアリスは嬉しいという気持ちの半面、「この人誰かを褒めることも出来るんだ」と少し驚いていた。そんなシフォンにレイチェルは自信ありげにこう言い返す。

「いいや、人格がいいんだ。」
こちらもまたアリスを違う言葉で褒めた。わりかし自分の気持ちは素直に言いそうなタイプだという印象を持っていたが、だからこそストレートに言われて照れてしまう。だが、アリスからしては双方の言ってることはさほど変わらないように感じた。レイチェルがわざわざ「いいや」と相手の意見を否定する形で入ったのも変だ。

「どちらも同じようなものでしょ」
褒められた本人はさりげなく話に割り込んだ。

「「違う!」」

二人同時に返された。アリスは何も言える気がしなかった。
「……礼儀正しい…て言えば…いいのに………」
寝言のように呟くフランネルの声は誰にも聞いてもらえない。

シフォンはやれやれと首を振った。レイチェルは、ただ人品という響きが気にくわないだけだろうということもなんとなく理解している。
「あのなあ…」
強気なレイチェルに冷静なシフォンは低い声で更に冷たい目で睨みながら言った。

「人格とは実に紛らわしい。お前はどの意味をとって言ってるか知らないが今のは明らかに人品だろう。」
「…うっ…」
レイチェルはまず話していることがなんなのか理解できていない。

「全く…どうせお前のキャパシティーはすっからかんなんだから辞書を百回ぐらい書き写しして出直してこい」
最後にすごいトドメを刺した。知らない横文字が理解できない。「相手が言ってることはなんとなく正しい」と思い込んで諦めてしまったのか「…うん、そうだな…そうする…」と負けてしまった。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -