淘汰の国のアリス | ナノ


「これぜーんぶ俺が作ったんだぜ!野菜も果物も育ててるのは俺だ!そりゃあもう愛情をこめて作ったんだからとーぜん…」
「キモい。」
得意げに語るレイチェルの話をシフォンは「キモい」の一言で終わらせた。実はあまり仲が良くないのではなかろうか。レイチェルの耳はしゅんと垂れ下がった。感情に対してなんとまあ素直すぎる。それも性格故なのか。しかしめげることはない。アリスが再び美味しそうに食べれば耳はぴんと立った。これはたまらない。

「三月さんの耳ってよく動くのね………さわりたい…すごくさわりたい。」
「単純だからね。何回も触って慣れてもらっても困る、そういうのはお仕置きの時にだな。」
「おい……。」
レイチェルは呆れている。いつ自分の敏感な部分である箇所を攻められないか不安でもあった。ちなみにアリスはチェシャ猫の件で加減はするようになったが耳に対してはどうかわからないので隙を見れば触ってやろうと考えていた。

「…三月さんもせっかくだからお茶会を楽しみましょうよ。」

ずっと立ちっぱなしだし、もう食べるものも数は余る程ある上に手には何も持ってない。そう言ってアリスは隣の椅子を引いてあげた。

「お、サンキュー。」
深く座れば両手を上に体を伸ばし首を振ればゴキッと鳴る…よほど休んでないことがわかる。

「はい、どうぞ」
と言ってアリスは新しいカップに紅茶を注いでやった。

「あー悪いな、客に気を使わせちまって。」
「そんなことないわ。」

「………………ほーお。今度のアリスはただのガキではないみたいだな。」

二人のやり取りを見て感心したシフォンはレイチェルの皿に焦げかけのスコーンを積む。いつのまにか眠りネズミも起きており、ぼーっとして活気がない目で積まれてゆくスコーンを眺めていた。ていうかどれだけスコーンを作ったんだとアリスも心の中で呟く。





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