淘汰の国のアリス | ナノ

「うわっ、わああああああっ!!?」

急に視界が眩しいと感じた途端にまた暗くなる。今までずっと宙を受かんでいた体は勢いよく茂みの中に突っ込んでいった。ずっと落ちたままだったので、体が止まってもどっちがどっちかわからなかった。アリスは茂みに潜った身体を起こし、服や髪についた葉っぱを払い落とした。

「あいったたた〜…。一体何が起こったの?」

地面についた自分の身体を見てしばらくして状況を理解した。
「…ようやく…落ち…着いたのね…?」
ゆっくり立ち上がってみると確かに地面にはしっかり自分が立って影が繋がっている。何より足裏がつく感覚に安心感を覚えた。
「よかったぁ〜…。…この茂みがクッションになったみたいね。」
普通はあんなに高い所から落ちてこんな庭にちょっと生えてそうな茂みで助かるはずがないのだが、今のアリスにとっては何よりも頼もしく見えた。

「何はともあれ、命が助かったんだからよしとしましょう。それにしてもまあ長いこと落ちたわね。」
幸いかすり傷程度で済んだが、腕から滲み出る微量の血を拭く物も持ってないので「あんまりよくないけど仕方ないわ」と言って軽く舐めて出血を抑えた。軽くため息つけば誰にも話すというわけでもなく一人でただただ喋っていた。

「でもこんな深い穴、一体誰がどうやっていつ掘ったのかしら。人の家に勝手に穴を掘るのはよくないし、それに誰かが穴を掘ってる所を私も見たことないわ。第一、そんな穴なんて庭には無いわ。…勝手に穴が開いたなんて不自然よ!私の住んでる世界は不思議の国とは違うんだからそんな…」

と吐き気続けてからハッと気づいたように辺りを見回した。


「…そっか、ここは確か不思議の国なのよね…」






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