淘汰の国のアリス | ナノ


「猫さんはこれを見てどう思うかしら。」

猫がウサギを追いかける姿は想像出来ない。ましてや花にいたっては「何これ」で始まるんだろうなと考えるとこの気持ちを共有できる人がいないのは少し面白くない。

「それにしても…ほんとウサギの多いこと。」

先程から足元をちょこまかと走り回るウサギに足を取られそうだ。

「ここはウサギの森なのかしら。」


すると、どこからか花の香りを掻き分けて何か違う臭いが漂ってきた。

「…いい臭い…これは………焼き菓子!?」

気付けば少し向こうに人影らしきものが見えた。アリスは好奇心に駆られその先まで小走りで向かった。







「…はっ…はっ…ここは…。」

アリスが行きつく先にたどり着いた場所に広がっていたのは、花と白い隙間のある塀に囲まれた広い広い芝生だった。あまりにも広くてわからなかったが、後ろの方には全部レンガで作られた大きな家に見える建物があったのできっと庭なのだろう。それにしてはかなり広い。アリスの家と匹敵するぐらいだ。

「………………。」

その家から少し離れた所に何かがある。テーブルクロスが脚が見えなくなるぐらいかかったテーブルはこれもまた家と同じぐらい長さで、木で作られたツヤツヤの椅子がその長さを埋めるように沢山取り囲んでいた。そのテーブルには、遠くからは確認しづらいが小さな物がずらっと並んでいる。


そしてそこを、世話しなく動き回る人と、席に座っている二つの人が確かに見えた。

アリスはどうしても気になり、自然に足を踏み入れた。中に入るにつれいい臭いが増してゆく。多分あの席のどこかにその原因があるのだろう。それに引き寄せられるように、芝生を踏んだ。





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