淘汰の国のアリス | ナノ


花の周りを沢山の子ウサギが自由奔放に走り、跳ねて、寝たりしている。ほとんどは薄茶色の毛並みに覆われている、野生の野ウサギのようだ。猫も好きだがこのような愛らしい姿を見たならいてもたってもいられない!

「か…かーわいいー!!」

早速一羽のウサギを抱き抱えると、最初は身体や頭を撫でてやる程度が抑えられず、思わず毛に顔を埋めた。

「うふふ…もふもふ…ああ、幸せ…!」

まさしく至福のひと時だ。表情はもう、うっとりとしている。そんな様子を気味悪がったのかウサギはアリスの腕の中から飛び降りた。

「あっ!そんなあ〜!」

少し落ち込むがもはや見ているだけで幸せなアリスはにやける口元を抑えながら花咲く道を進んだ。

「猫さんもついて来ればよかったのに〜…」

そう、今この道をアリス一人で歩いている。先程まで一緒にいたチェシャ猫の姿はいない。


話を遡ると


二人で左に分かれた道を進んでいたら、途中でアルマと遭遇したのだ。アルマ曰く「いつの間にか猫とはぐれて適当に歩いてたらここにいた」とのこと。もしかしたらアリス以上に方向音痴ではなかろうか。

そして次は「遊んで!」とチェシャ猫にせがんだのだ。いきなりすぎるのでさすがのチェシャ猫も「今はそれどころじゃないよ。」とスルーしようとしたが、相手は手にボールを持っていた。猫は丸いものに反応するのがお約束。アルマはその気があるのかないのか、それを投げるや否や猫も猫らしい四足歩行で目を光らせてボールめがけて勢いよく走っていった。

アリスは呆れてそんな野生剥き出しのチェシャ猫を置いて先に進んだのだ。






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