淘汰の国のアリス | ナノ





「あ。」
「お。」


二人はぴったり、立ち止まった。


目の前の道が二つにわかれていた。一つの道からまるで裂けるように細い道がそれぞれ分岐して長く続いている。

「どうしよう。どちらへ行ったらいい…どんな所へ着くのかしら…」
「あー…」
アリスは二つの道を交互に見ながら悩んでいる。どの道がどの場所に続いてるかなんてわからない。だが出来るだけ安心な所が望ましい。

「確かねー。アリス、猫は知ってるよ。」
と一歩前に踏み出しくるりと振り返る。すると、尻尾が器用にアリスから見て右を指しながら

「こっちは帽子屋の家へ続く」

次は左を指して

「こっちは三月ウサギの家へ続く。」

「三月ウサギ…?」
アリスは聞いたことも名前に小首を傾げた。帽子屋というものはアリスのいた世界にはさほど珍しいものでも何でもない。あまりお目にかかることはなかったが、帽子を商売にしている職業なんて見たことはなくてもあったならそれはそれだけのことである。

だが、三月ウサギとは何なのだろう。白ウサギと違い、その対象を象徴するものが色でもない外見的なものではなく、月の名前がついているのだ。何かしら由来があるのだろうか、チェシャ猫と同じようなものだとしたら尚更気になる。

ありふれたものより、稀少で珍しいものにいつだって子供は興味をそそられるのだ。


アリスに迷いはない。

「三月ウサギの家に行きましょう!!」
「…いいのかい?両方頭がおかしい奴らだよ?」
チェシャ猫は尻尾を揺らしながら相手の感情を惑わすように。言った。

「ちょっとやそっとのことじゃあもう驚かないわ!それに道があるなら進むしかないもの!」


アリスは先手を切って左の道…三月ウサギの家へ続く道へと進んだ。






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