だが案外
「友達……っていうのはね。」
自分にとっての友達とは
「一緒に遊んでたまにふざけたり、困った時には慰めたり励ましたり、間違った道を進もうとした時は止めたり、みんなで一人の気持ちを分かち合うものなんじゃないかしら。」
言葉にしてみればこんなにも簡単だったらしい。
「少なくとも、私はそうだったわ。人それぞれだけど、今はお互いの考える友達でいいと思うの。」
「……うん、じゃあ…」
しまいにはいまいち話をなんとなくでしか理解出来ていないようだった、喜んでいいのかどう対応すればいいのかきょとんとしてる。
「猫と君はトモダチか?」
「…ええ、勿論!」
アリスは満足げに、笑った。
「あなたと話していると楽しいんですもの!」
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「…むう…。」
キノコの森にて。一人の青年、シグルドは虚空を見上げてどこか憂いの表情を浮かべながらキセルを片手に煙りを吹かしていた。太陽はやや傾いている。
「…何かお悩みごと…?」
下の方から声がした、けだるそうな少女の声だ。その少女は「よいしょ」とキノコの上をよじ登って少し離れた向かい側に座った。
「……ああ、フランか。相変わらずだな、元気にしておるか?」
シグルドは堅い表情をやや緩める。少女は眠たそうに目をこすっておおきなあくびをした。
「…いつもどうり、うるさい…」
「ならよかった。」
安堵して空いた右手で本を開いた。
「…あなたは…そうでもなさそうね…」
「…ああ…まあ、色々とあってな。」
少女は見透かしたように見る、シグルドの表情は空にない雲のかわりに曇っているような、憂鬱そうだった。そして
「根拠はない、不確かなものにしか過ぎん。しかし、私はこの国の行く末が急に心配でならんのだ。」
「……………。」
そんなまま、時間は悠々と過ぎた。
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