淘汰の国のアリス | ナノ

「好き?え!?あ、好きい!?魚が!!?」
「魚もだけど、アリスも好きだよ。」
当のチェシャ猫は表情を変えないがからかっている様子もないようだ。アリス(14歳、恋愛経験無、彼氏無し)は何がなんだか訳がわからず混乱している。

「嫌いか好きかって言ったら、猫はわざわざ嫌いな奴と歩いたりしない。」
「……ううぅ〜…そ、そうね。」

そう言われたからにはアリスは一息ついて落ち着かせた。それでも顔の紅潮は収まりきれない。

「…でも、好きていっても色々あるじゃない。」
「…色々?」
「…友達としてとか、恋人としてとか、色々あるのよ。」
「好きに色々も何もないじゃん。好きは好きでしょ。」
「私達人間は色々な立場があるのよ。」
「…ふーん、まあー…ヒトは難しいなー…」
チェシャ猫はそれについては対して興味がなさそうだ。猫にだって色々あるだろうに。

「それで言うなら私も好きよ、猫さんのこと。」
「カップル?」
「ちっがう!!!」
アリスは顔を真っ赤にして叫んだ。ちなみにチェシャ猫は無表情だ。人をからかい時ながら実に解せない

「…えー、友達としてかな。うんそう!友達として好きよ!」
「トモダチ?」
チェシャ猫のその時の表情ったら、まるで見たことも聞いたこともない物を目の当たりした無邪気な子供のようなこと。逆にアリスはその様子をおかしいと感じた。

「ええ、友達よ?」
「……………トモダチってなんだ?」
「……えっ、ええーと…」

まさかではあるが向こうから聞かれるとは思わなかった。アリス自身、友達が普段どんなものか意識して過ごしたことはない。そんなもの考えて友達と遊んではない。自分にとって友達とはなんだろう。相手に言っておきながら自分が考えさせられるはめになった。





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