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「おい透、起きろ」


ゆっさゆっさと揺さぶられてる感覚がする。なんやろう、地震やろか。夢の中で地震って、なんか不吉やん。てゆーか揺れめっちゃリアルやし。


「がっこーに遅刻するぞ透」


それとなんか声聞こえるし……はッ、も、もしやこれは私を夢から覚まそうとする悪魔の仕業じゃ…!


「誰が悪魔だ!いい加減にしろ!!」

「いやああああああああ蛇様だったよおおおおおおおおおおお!!!」


現実逃避もむなしく、私のマイハニー(布団)は悪魔より恐ろしい蛇様によって引っぺがされた。
恐る恐る目を開けると、鋭い眼光に見下ろされていた。ひぃ…!

「あの…眠いです…」

「知らん」

「(即答…)オロチぃ…お布団ちょうだい…」

「だめだ。ほら、早く顔洗ってテーブルにつけ」


ずるずると私の布団を引きずりながら部屋を出て行ったオロチの背中を見送って、私は渋々制服に着替え始めた。

オロチが私の家に来るようになって二週間。ついでに言うと私の生活ががらりと変わったのも二週間前。
あの日、結局家まで運んでくれたオロチが私の部屋を見て驚愕&激怒。次の日玄関を開けるとなぜかオロチが立っていて、それからちょくちょく私にご飯を持って来たり作ったりしているうちにそれが日常化し、今では立派な我が家の主夫になりつつあるのだ。

言わずもがな、彼はれっきとした妖怪である。

全ての支度を頑張って済ませ、リビングに出ると、お玉を持ったオロチがエプロンを着て仁王立ちしていた。ちなみにこのエプロン、お母さんが私にと送って来たんやけど、私料理できひんから一度も使ったことがないものである。


「遅い」

「…頑張ってんで?」

「作ったものが冷めるだろう」

「はーい…」

「あ、ちょっと待て」

「なんどすか」

「(なんどすか…)ねくたい、巻けてないぞ」

「後で巻くー」

「そう言って直したことないだろう。ほら、こっち向け」

「うぃ」


私が適当に巻いたネクタイをオロチが手際よく直していく。あっという間にきれいに巻き直されたネクタイを見て、オロチは満足そうにうなずいた。


「よし。ほら、冷めないうちに食べろ」

「うん!いただきまーす」


今日の朝ごはんは和食の定番ともいえそうな、魚の塩焼きとわかめの味噌汁、そしてふっくらと炊きあがった白ごはんにほうれん草の和え物。ちなみにオロチの作るご飯はどれも絶品でおいしいのだ。
この蛇様、妖怪の中でも強い方やし、それに加えて家事とかできちゃうとかもはや無敵やろ。てかなんでこういう家事スキル身に着けちゃってるんやろマジ謎…あ、私のせいか。


「うま!オロチめっちゃうまい!うますぎて死にそう!」

「そ、そうか…」


そう言って俯き気味に蛇さんマフラーに顔を埋めたオロチ。なんやねんこの可愛い生き物は。やめろそんなに私を殺したいかッ!!もう嫁にこいよ!!てゆーかおいで!!

悶々とそんなことを考えながら箸を進めていると、ふと視界の隅にちらついた時計を二度見ならず三度見した。

そしてフリーズ。


「8時15分…幻覚かいなそれとも誰か針いじったんと…」

「遅刻だな」

「うわあああああああああまじかああああああああ…………ま、いっか」

「いいわけないだろ!!」


だーんッ!と怒るオロチは、焦ったように私の部屋から鞄を引っ掴んで、のんびりそれを眺めていた私の首根っこを掴んだと思ったら勢いよく走りだし、玄関を蹴破らん勢いで開けた。


「だぁあ!!」

「がっこーの近くまで連れて行ってやる。あとれこ弁当」

「あ、いつもありがと…どぅわああああああああああ!!!」


そして、私を抱えてオロチは空に浮いた。ちゃんと鍵を閉めてくれているあたりもう達人だと思う。
…それよりも、今現在進行形で大問題が発生しております。


「た、高い…!!めっちゃ高い怖いああああああああああああ」

「うわぁ!!透ッ!そんなにくっつくな!!前が見えん!!」

「怖いよぉ…超こわいよぉおおおおお…!!」


何を隠そうこの透さんは高所恐怖症なのだ。さくらEXタワーの床がガラスになってるところあるやん?小さいころにお父さんにそこ乗せられてから高いところはあかんねん。ジェットコースターとかもってのほかやし。
今も下とか見んようにオロチの首にしがみ付いとると言うのに、飛ぶスピードは全く持って変わらない。何これめっちゃつらたん。


「透、透」

「…………………なんですか」

「がっこー、着いたぞ」

「ありがとぅおえッ……ございます…」

「俺の肩に吐くなよ!?」


さっと私を下ろして離れたオロチ。
……ちょいと兄ちゃん。そりゃひどいんやない?

よろよろと立ち上がり、学校の正面玄関に向かうべく歩き出す。やっばいおえっていきそうなんやけど…


「い、いってきまふ…」

「いってらっしゃい。お菓子は持ってないだろうな」

「きっと入ってない…」


余談だが、オロチは私が間食することを嫌う。彼曰く健康に悪いだの、太るだの…ママンだ、ママンがここにいるよ…!


「そうだ…透」

「うぷ…なんでしょうか」

「今日の晩ご飯は肉じゃがだから、早く帰っておいで」

「寄り道せずに帰ってきます!!」


なんだかんだ言いつつ、今の生活が楽しいことは認める。
そしてオロチがお母さんなことも。





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オロチくんにご飯作ってほしいのは私です(キリッ
さっそく文章がおかしくなってます気付いている方は多いはず。

そしてオロチくんの口調がわかんない。めっちゃ迷走してますが、もうしばらくお付き合いくださいませ…!




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