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「あー…今日はここまで。ちなみに次の定期テストの範囲にここ含まれるからな。ちゃんと勉強しとけよー」


じゃ、解散。
そう数学担当の合図の後に、じょろじょろと各自昼休みに入るクラスメイトたちに紛れて、私もいそいそと鞄からお弁当をだした。もちろんながらオロチのお手製弁当である。わくわく。


「今日のおかずはなにっかn…うおおおおおおお!!」


ぱたん、と落ち着くために今一度蓋を閉める。やばいで、開けた直後お弁当の中から後光があふれ出たで!!なんやかんやほぼ毎日お弁当を作ってくれるオロチやけど、どないしたん。今日やたら気合い入ってるやん。洗礼された栄養バランスと言い彩と言い…

高級ホテルのサービスかと思ったわ!!


「ど、どうしたの多紀さん?」

「ううんなんでもない。何でもないんよ」

「あー、気にしなくていいよ。透ってば最近ずっとこの調子だから」

「そうなの?」

「うむ」


いろいろ私の言葉足らずな所をフォローしてくれる隣人の子は美紀ちゃん。いつもノートの件でお世話になってますてへぺろ。

戸惑う女の子は不思議そうに首をかしげつつも、その子を呼ぶ友達に急かされて去って行った。
残ったのは、呆れた顔をした美紀ちゃんとオロチの作品的お弁当を前にして幸せをかみしめる私だけ。
めっちゃ自慢したい。この素晴らしいお弁当をぜひみんなに自慢したいしてもいいですかいいんですねそうですか!!!


「美紀ちゃん美紀ちゃん!!見たってこのお弁当!!もはや芸術やと思わん!?」

「たかが弁当ではしゃぎ過ぎでしょ…おお!!なにこれすごい!!ちょっと透!!日に日に豪華になっていってない!?」

「うふふー。いいでしょー」


ちなみにお弁当の他にデザートとして蛇さんリンゴも入ってた。


「これ蛇?すごいね。てか蛇よりうさぎの方が簡単だと思うんだけど…」

「まぁいいやん!いただきまーす!!」


ふおおおおおおおお…!!うま!!今日もマジうまですオロチさんッ!!あんたの手はいっそ神だ。
そんなことを考えながら一口一口を味わいながら食べていると、不意に自分のお弁当を食べていた美紀ちゃんが口を開いた。


「でも透がお弁当持ってくるようになったのって割と最近だよね?」

「うん?そーやねぇ(もごもご)」

「……前から思ってたんだけど、誰に作ってもらってるの?透って確か一人暮らしだよね?」


ごっくん。と飲み込んでからうーん、と首をかしげる。妖怪さんに作ってもろてるんよー。やなんて言われへんやろうし、なんと言ったものやら。自分で作ったって言っても、そもそも私が家事できひんの美紀ちゃん知っとるし…


「しいて言うなら、私のめっちゃ大事な友達やな!」

「…へ?」

「だーかーらー、友達が作ってくれとるんよ!家事も全部できるハイスペックなやっちゃ!」

「あ…そう…」


なんかもう美紀ちゃんは途中から考えることを放棄したみたい。だって事実やし。
なー。と内心で言いながら窓の外を見ると、いつからいたのかオロチが木の枝に座ってちらちらとこっちを見ていた。なんやねんあれ。かわいすぎやろ。本人はバレてると気付いてないらしい。
そして私と目が合うと、ぐわっと顔を真っ赤にさせて少しあたふたした後どこかに行ってしまった。


「天使か…」

「え?なんか言った?」

「いんや、別に?」


蛇様はどうやらちょくちょくこうして私の様子を見に来ていたらしい。安心して、お弁当はいつもおいしく食べさせてもろてるから。





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比較的に短かった。
というか蛇の形に林檎を剥くオロチさんマジハイスペック。そう思ってあえてうさぎじゃなくて蛇にしました。




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