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お空まで飛んでいけ!





暖かい昼下がり。庭で悟飯が可愛らしく蝶々を追いかけていた。何あれ超可愛い。


「おねーちゃーん!」

「なーにー?」

「えへへ、よんだだけ!」


ギャンワイイ何あれ天使。
窓枠に肘をついてだらしなく頬を緩ませながらそれを眺めていると、わあッ!という声の後、ずべしゃッと見てるこっちが目を覆いたくなるような盛大なこけ方をして悟飯が地面に顔面スライディングをした。


「ぎゃッ!ご、ごはぁああああああんッ!!!!」


咄嗟に窓枠を飛び越えた私の運動神経に密かに感動しながら悟飯に駆け寄る。あぁあおでこから血がッ!!顔中土くれだらけになってもう!!


「う…い、いたいよおぉおー!!!うえぇぇぇええええん!!!」

「ご、悟飯だいじょう…ぶなわけないか…あぁあ、痛かったね痛かったねよしよし!大丈夫だよ、おねぇがついてるからね!」

「うぇッ…うぅう…いたいぃい…!!」

「ほら悟飯?おねぇにお顔をよく見せて?」

「ぐずッぐず…ぅん…」


まだ目から涙をボロボロと零しながら見上げる悟飯にいい子いい子しながらハンカチでおでこを優しく拭いてあげる。
見た目の割に傷口は浅かった。切れたわけじゃなさそうだし、一先ずほっと胸をなで下ろす。


「おねぇが、痛くなくなるおまじないしてあげるね」

「おまじ、ない…?」

「うん、こうやって…」


おでこにチュッて。
きょとん、と私を見上げる悟飯を見て気付いた。しまった、テンパってたからって私何やってんだろ。痛いの痛いのとんていけならまだしもなんだよおでこにチュッて。どこの乙女ゲームだよなんでこんなことしたんだろ私…。
ズゥーン…と1人背中に影をしょってると、控えめにちょんちょん、と袖口を引かれた。


「すごいや、おねえちゃん。本当にいたくなくなっよ!」

「…え、まじ?」

「うん!おねえちゃんは、魔法使いみたいだね!」


…とにかく、悟飯が泣きやんだからまぁよしとしようかな。
これから先もう二度とあんなことはしないけど。

悟飯の涙の跡を親指で拭いながら心に誓ったのだった。


「それにしても悟飯は本当に泣き虫さんだね。男の子ならもっとシャキッとしないと」

「うぅ…ごめんなさい…」






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