「正直、付き合うとかめんどくさい」
真はまっすぐ私の目を見て言った。私は今、ちゃんと笑えているのだろうか。そんなことを思ったり。
「待ち合わせして会ったり、毎日連絡とったり、そういうのダリィってか」
「…う、ん」
「だから、」
あぁ、もう別れ話か。泣いちゃダメだ私。最後までめんどくさい女だと思われたくないから私は精一杯涙をこらえた。でも真にはお見通しで「なにお前泣くの?」って相変わらず意地悪な笑みで言ってくる。
「こっち来い、名前」
真は私の手を引いて自分の腕に閉じ込めてた。なんで別れようとしてる彼女を抱きしめたりするの?そう言ってやりたいのに私は真が好きだから何も言い返せない。
「オレお前の泣く顔けっこう好きだぜ」
「…でもっ、別れ、るんでしょ?」
「オレがいつ別れるって言ったんだよ」
え。思わず顔をあげて真の顔を見ると、してやったりみたいな顔で笑ってる。何がなんだかわからない私の手を真はぎゅっと握って言った。
「付き合うのがダリィって言っただけでお前のこと嫌いになったとか別れるとかひと言も言ってねぇだろ、バァーカ」
「え、なにそれ。どういうこと?」
全然意味がわからない。首を傾げた私に再び「バァーカ」と言っておでこにちゅっと口付けた。
「だから、オレと結婚しろって言ってんの」