「蕪城さんが部活見に来てくれる言うねん」
「あっそう」
「けどな、一人やと行きづらいて。せやから名前一緒に行ったってや」
「無理。何で蕪城さんの護衛なんかせなあかんの?」
「お前、護衛するの好きやん」
「好きちゃうわボケ」
で。なんやかんやで来てしまったテニスコート。隣には蕪城さん。なんか話しかけてくるけど、ほぼテキトーに笑って流してる。
「ごめんね、苗字さん。忙しいのにわざわざ付き合ってもろて」
「大丈夫です。いつもユウジが終わるまで待ってるから」
「あ、一緒に帰ってるんやっけ?仲良えよね」
「まあ友達だから」
「苗字さんって白石くんとも仲ええよね?」
「白石?」
「うん」
「同じクラスやから」
なぜ、このタイミングで白石の話?ふと、隣を見ると蕪城さんの視線はユウジではなく、白石の方に向いていた。
「蕪城さん、白石のこと好きなの?」
「え!?ちゃうで!全然ちゃうから!」
「………ふーん」
この女、ワケわからん
「大変や、名前!」
「うわ、何?」
その日の夜のこと。ベッドの上で雑誌を読んでいたら、勢いよく部屋のドアが開いてユウジが入ってきた。勝手に入ってくんなよ。とか言って私もユウジの家に勝手に上がり込むけど。ってこのシーンいつだかもあった気がする。デジャブ。
「まあテキトーに座りなよ」
「お前、この汚い部屋のどこに座れ言うねん。てかブラ落ちてんで。……B」
「ちょ、何よ文句あんの」
「可哀想やな」
「はあ?いらぬ同情しないで」
「蕪城さんはきっとDはあるな」
「キモ。どこ見てんの。キモ」
やっぱお前乳目当てじゃねーのか。あーやだやだ。ユウジくんのえっちー。
「で、何か用だったんでしょ?」
「あぁ、せや!蕪城さんとデートすることになった」
「………」
「蕪城さんとデートすることになった」
「2回言わなくても聞こえてるわ!」
「ほな、何か言えや」
「ヨカッタネ」
「なんで棒読みやねん」
ははは、うざーい。なに急展開を遂げてんのよ。ニヤニヤすんな。
「付き合うん?」
「は?」
「蕪城さんと」
「デートうまくいったら告る」
「へぇー」
きっと振られるよユウジ。だって私今日知っちゃったんだもん。蕪城さんが目で誰を追ってたのか。
「ドンマイ」
「縁起でもないこと言うなや」