プルルルル…

シンプルな携帯の着信で目を覚ました。何やねんこんな時間に。ちゅーか今何時?3時?時計を見てガックリとした。無視しようとしたが、いつまでも携帯は鳴りやまず仕方なく通話ボタンを押す。


「…何やねん時間考えろやボケ」

『寝てた?』


電話の向こうの声は名前。まあこんな非常識な時間に電話をかけてくる奴なんかコイツくらいや。


「当たり前やろ」

『ふーん』

「…で、何やねん」

『眠れん』

「………切るで。ほな、」

『待て待て切るなや助けて』


切ろうとして携帯を遠ざければ『助けて』とか言いよる。何が助けてや。俺が助けてほしいわ。頼む寝かせろ。


『嫌な夢見てん。それから寝れんくなった。どうしたらええ』

「羊数えてろや」

『今、9657匹目』

「ほな、その調子で頑張れ」

『死ね』


お前が死ね。自己中心的な理由で俺の睡眠を妨害しやがって。明日昼飯奢らせる絶対。


『ねぇ、私が寝るまで電話繋げてて』

「めんど」

『蕪城さんの好きなタイプ教えてあげるから』

「……しゃーないな、俺って優しっ」

『うざっ』


で、どないやねん蕪城さんの好きなタイプ。布団の中でウズウズする。キモイとか言うな。


『知らない。嘘だし』


………。ブチッ



「何やアイツめっちゃウザいわ」

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