0331 03:46

美形クラスメイト達×童貞平凡以下


俺には悩みがある。それは18歳を過ぎてもまだ童貞だということ。俺は確かにイケメンではないし、どちらかと言うと平凡以下だ。

だけど世の中には平均以下の容姿でも彼女がいる奴だっているのだ。俺だって清潔感にはきちんと配慮しているし、彼女を作るための努力も勿論している。

それなのに彼女ができないのは何故か。
それは俺の周囲による影響が大きいと思われる。

羽水高校3-5組。別名ホストクラブ。又の名を楽園。
俺のいるこのクラスには、何故か様々な系統のイケメンが勢揃いしていた。しかも俺を除く全員がである。

俺の高校はクラス替えがないため、一年からの持ち上がり組だ。つまり俺は三年間をイケメン達に囲まれて過ごしている。しかも最近共学になったばかりの学校のため、男子のみのクラスが存在する。勿論俺のクラスである。最早これは学園ぐるみの俺に対するいじめだとしか思えない。

「大丈夫、大丈夫。るーくんの良さを分かってくれる人は必ずいるから」
「そんな焦らなくてもいいよお。それより俺達と遊ぼ、ね?」
「るー、彼女いてもめんどいだけだぞ」
「「るーは綺麗なままでいてよ」」

クラスメイトに相談したところで意味をなさない。何故なら彼らは彼女を求めていないから。その前に女子の方からふらふらと寄ってくるのである。なんとまあ羨ましい!頼むから俺にもその顔面偏差値を分けてくれ…。

「いやだ!俺は彼女が欲しいんだ…っ!このままじゃ妖精になっちゃうじゃんか!」

俺がばたばたと手足もフル活用してことの重大さを訴えれば、クラスの皆はうーんと考え込んだ。

「…なあ、その妖精ってやつ、30歳になっても童貞とか処女のやつがなるって話だよな?」
「そうそう!あーっ、もう早く彼女欲しい…!」
「あははっ、まだ30歳なんて先の話じゃんか」
「なに笑ってんだよお…きっと30歳なんてあっという間にきちゃうんだ!俺は一刻も早くその未来からはずれたいのっ」

「…ふーん。じゃあ、俺たちが協力してあげようか?」

クラスメイトの一人の言葉に皆が同調するように、そうだな、手伝ってあげようかという声があがる。

俺はクラスメイトたちの親身な言葉にじわりと目に感動の涙を浮かべる。イケメン爆発しろとか思ってごめんなさい。やっぱりイケメンは中身もイケメンなんだな!

クラスメイトたちがにっこりと笑う。俺もつられてへらりと笑い返す。完璧に気が緩んでいた俺は、教室の鍵と窓が密やかに閉められたことに気づかなかった。

「るー。あなたのためなら、私たちは何でも協力しますよ」
「…るー…童貞か処女じゃなくなる…妖精ならない…」
「お前ら、抜け駆けは無しだ。皆で平等に、だろ」

じりじりと近寄ってくるクラスメイトたちのどこか異様な雰囲気が少しだけ怖かった。

それからのことは思い出したくもないけれど、確かに俺は妖精にはならなくて済むだろう。失ったのは処女の方だけど。




「だって、童貞か処女じゃなければ妖精にはならないんだもんね?」

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