ある二人九 | ナノ
「・・・俺が弱っているように見えるのか・・・。」
「見えるね。少なくとも会った時よりは元気ないから。」
「弱っている人間にわざわざ近付くなど益々信用できん。そんな奴は大概ロクな奴じゃあない・・・!」
彼女はさっきよりも敵意の眼で俺を睨む。何でそんな風に考えるんだよ?何でそんな眼で見るんだよ・・・?
「ロクな奴じゃねーってさ、んなもん心配してるから近付くもんだろ?信用できないって―――「ハッ・・・有り得ないとでも言いたいのか?人間なんざ弱っている奴を!弱い奴を貶めようと虎視眈々としている奴ばかりだ!精神的に肉体的に自分の利益のために悦楽の為に他人を傷付け壊す奴ばかりだッ!!!」
「――――――」
否定はできた。そんなワケないって。なんでそんなに疑ってかかるんだって。
否定はできなかった。彼女の言葉は何故かあまりにも・・・重かった。だから。
「・・・言い返さないのか。認めるのか?」
彼女が口端をつりあげる。
「・・・認めない。でも、おまえには・・・言い返せない。」
こんなの15そこらの女の子のセリフなんて思えない。
だからといって、信じられないワケがないんだ。こいつが言うと、何故か。
「とにかく放っといてくれ。君には俺の今の状況とは関係ない。さっきのことで文句があるのならいくらでも聞くが・・・っ。」
また、彼女がよろめく。
「!大丈夫か!?」
「構うな帰れ・・・なんでもないから・・・・・・。」
「・・・分かったよ。なんかあったら来いよな・・・・・・。」
「・・・・・・。」
俺は家に帰った。彼女がどうしたかは知らない。振りかえってないから。
ベッドに倒れ込もうとしたけど、それはやめてどっか、とコタツの前に座る。
部屋に漂うスープの匂いが、なんとなく淋しかった。
「・・・・・・。」
寝よう。寝れば、気にならない。
俺は部屋の電気を消して布団を被った。


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