ある二人四 | ナノ
「はあ、はっ・・・何処行った?」
こんなに走ったのはいつぶりだろう?かなりキツイ。疲れた。でも・・・走るんだ。
「はあ、はあ、はっ・・・?」
公園・・・・・・。・・・一応見てみるか。なるべく足音を立てないようにして歩く。足音で逃げられては困る。公園内を探したものの、見つからない。ここにはいないのか・・・。
俺が踵を返そうとした時。小さな声が聞こえた。今にも泣きそうな声だった。
「谷在家の仕業か・・・・・・なんでだよ・・・?」
「・・・・・・?」
彼女は木の茂みとトイレの間に座っていた。顔を膝に埋めてたから表情は見えなかった。
「なーにしてんのっ?」
「!!?」
俺が声をかけると、彼女はまるで幽霊かなにかでも見たように驚いた顔になった。
「お前・・・!」
「なんだよこんなところで。臭そうだぜ。」
俺がそう言うと、彼女は俺を睨んできた。・・・怖い。
「・・・なにか用でもあるのか。」
「いやあ用ってほどでもないけど・・・おまえのことがなんか気になってさ。」
「はあ、・・・あっそ。」
ため息をつかれてしまったことはとりあえず傷つくので置いといて。
「家に帰んないの?」
「・・・・・・。」
「・・・家出とか?」
「違う。」
家出じゃないなら何だろう。少なくとも売春とかじゃなさそうだし。う〜ん?
・・・あ。もしかして・・・。
「おまえ・・・帰る家がないのか・・・?」
「・・・・・・・・・わからない。・・・帰ってもいいって。俺のところに来いって。だが・・・行けない。行けばまただめになる・・・・・・、」
「・・・・・・。」
何かよくわからないけど。彼女は大変で家には帰れない、ってことだけは分かった。なら・・・。
「なあ、行くとこないならさ、俺んちに来ない?」
「・・・・・・はあァ!?」
予想以上に驚かれて少しビビる俺には構わず、怪訝な目つきで彼女は俺を睨む。
「へ、変なことはしないよ!?」
「いや・・・やめておく。迷惑がかかる。」
「俺独り暮らしだし気にしなくたって、」
「行かない。申し出は嬉しいがな。」
そんなやりとりを5回ほどやったけど、てこでも動きそうになかったので、仕方なく諦めた。


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