ある二人二 | ナノ
周りを見回しても、皆自分まで絡まれ痛い目に遭いたくないと、見て見ぬフリをしている。心なしか早歩きの人が多い。
「こちらは迷惑をしている。そもそもお前に礼儀をいう資格など無い。紳士を気取りたいのなら即刻立ち去れ或いは俺が消えるから邪魔をするなそこを退けもう一度言うこちらは迷惑をしている。」
再び彼女の低く冷たい声が響いた。早口ではあるがはっきりと聞き取れる。
そ、そんな挑発するようなこと言っちゃって・・・!
「こ、この女アアア!!」
不良の一人がナイフを彼女へ振り上げ――――――・・・。
「やめろおぉおおっ!!!」
頬が、急に熱くなった。
―――気がつくと俺は不良達の前に立ち、女の子を庇っていた。ナイフはなんとか俺の左頬を軽く抉ったぐらいで済んだようだ。痛い。
「んだテメー!邪魔すんなら袋叩き(フクロ)にすっぞ!」
「・・・・・・こういうのはよくないと思うぜ。しかも女の子相手に三人がかりでナイフたぁ男が廃るんじゃねーか!?」
ええいもうあとは野となれ山となれだ!
「馬鹿!危ないだろ!?なにしてんだ!!」
彼女が信じられない、といった顔で俺に怒鳴る。
「知らねーよ!カラダが勝手に動いたんだからそっちに抗議してくれ!」
俺が大声で返すと、彼女は舌打ちをすると俺の手をは意外に強い力でぐいっと掴みまれ、彼女の後ろに引っ張られた。
「なっ!、」
「黙っていろ。」
お前みたいな女の子が不良三人相手に勝てるわけねーだろ!?なにしてんだ!
「無視(シカト)してんじゃねーよ!オレらのことナメやがって・・・半殺しにしてオモチャにしてやる!」
「・・・・・・。」
不良の一人がナイフを振り下ろす!
「やめっ―――」
俺が止めるよりも先にナイフが彼女の左腕を掠めた。避けたからまだあの程度で済んだが、避けなかったら・・・・・・。
「・・・刑法第三十六条第一項゛正当防衛″、知っているだろ?」
「は・・・?」
「加害者は凶器を所持。法律上状況はこちらに有利。知らない?
―――加害者は殺されても文句は言えない。」
「ひっ・・・!?」
不良三人は彼女の言葉だけにビビったわけじゃ無かった。
・・・彼女の眼が―――冷たく、鈍く、光ったからだ。
「安心しろ・・・殺さないから。ただ二度と女の顔も見れない身体にしてやるだけだから。」
彼女は口の右端を吊り上げ、嘲笑(わら)った・・・・・・。



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