ある二人の話一 | ナノ


ある暗い時間帯。
「あ〜あ・・・今日は一枚も売れなかったなあ・・・・・・。」
俺は伊藤鋼(いとうこう)。
夢はシンガーソングライター。
そんで毎日渋谷とか上野とか、時には秋葉原の路上でギター片手に歌を唄う。
まだ売れてねーし金がないからバイトやったりして・・・ほとんど今の俺の人生活は歌かバイト、だ。
「なんで売れねーのかな・・・頑張って頑張って、何度も直したのに・・・・・・。」
ハア、と思わずため息が出ちまう。・・・勘当なんてされないようにせいぜい取り繕って、家業の人形劇役者にでもなれば良かったのだろうか・・・?
最近金は無いわ自炊すんのも面倒だわでカップヌードルぐらいしか食べてねーし飽きたなあ・・・。
・・・・・・いやいやいやいや!ネガティブになるな!夢に向かって突き進めよ!一度は自分を信じて決めたことじゃないか!!
「・・・とりあえず新曲を練り直し「オラオラ付き合えよじょーちゃんよう!」
突然、下品な大声が響いた。
顔を顰めながら声のする方に振り向くと、三人組の不良が女の子(不良が邪魔でよく見えないけど)を囲んでいた。
「なあなあイーじゃん?キモチイーシャブ持ってっからさあ。4人でやるとかなかなか経験できないよ〜〜〜!?」
「生だしさあ・・・悪い話じゃねーだろォ?」
うわシャブとか・・・こいつら危ないぜ・・・。
でもあの女の子が危ないし・・・だけど俺が行ったところでなにかできんのかよ・・・なにもできないだろ・・・?
「・・・・・・。」
なら、仕方がない・・・行ったって無意味なんだから、警察にでも任しとけば―――。
「黙れ寄るな動くなくたばれ阿呆とっとと帰れ。」
「!?」
鋭く冷たい女の子の声がした。驚き少し後退った不良の隙間からは中2、3ぐらいの黒髪の奇麗な顔の女の子が不良を睨み付けている。
「あぁん?ナメたこと言ってんじゃねーぞじょーちゃんよォ。人が下手に出てりゃあ調子のりゃがって!」
「じょーちゃん礼儀ってもん知らねーよーだなァ?人が誘ってやってんだから喜んでくるんだよ!ブス!」
「バカ女が・・・おとなしくしてりゃあ優しくして楽しませてやったのに・・・痛い目に遭いたいらしーなァ!」
性質の悪い不良達は最早戦闘モードになって、三人ともナイフを手に持つ。
だ、誰か助けてやれよ・・・。


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