強奪二。 | ナノ
「あ、浅井・・・。」
ウチが思わず名前を呼ぶと、浅井凌平は更ににこやかな顔でこちらをみた。
・・・今はあまり目を合わせたくない。ていうか、その笑顔が逆に怖いのですが。
「ちょっと下がっててくださいね、今起こしますから。急ぎなんでしょう?」
「ま、まあ・・・そうだけど。えっと、お手柔らかに・・・。」
「大丈夫です、いつも手加減はしてますから。」
「・・・・・・。」
何時もって・・・あれで・・・・・・?
ソラの方を見ると、明後日の方向を見ている。・・・まあ、気持ちはわからんでもないが。
そして谷在家の方へ顔を向けようとした時―――轟音が響いた。
「〜〜〜〜〜ッ!!?」
谷在家が声にならない叫びをあげた。
どうやら今日は何故か何時も持っている出席簿ではなく。
浅井のワイシャツの襟元に付けてあるブーメランでやられたらしい。
ゴメンナサイ谷在家。ウチには何もできなかった。だって怖かったんだもの。
心の中で謝罪と言い訳をしていると、浅井の鋭い声が響いた。
「お目覚めですか、署長。」
こちらからはよく見えないが、谷在家の引きつりpart2☆な顔からきっともの凄い表情なのだろう。
秋山すら一度凍りついた事があるのだから。
「えっと・・・、」
「寝てたか?私h「寝てましたッッッ!!!それも30分41秒67と30分をオーバーしてます!!」
そ、そこまで数えていたのか・・・?
「当直ならまだしも通常勤務でしょう署長は!一体何度やらかせば気が済むんですか!これで通算261回目ですよッ!!?」
廊下どころか署の外まで響く程の大声で浅井が怒鳴る。
慣れた署員はまたか・・・と呆れ、初めて署に来た一般市民は持っているモノを落としたりしていた。
谷在家といえば気まずそうに椅子に座り直して、机の上に山積みにされた書類を一瞥し、浅井の顔を見る。
「いつ見ても怖いな、君の怒った顔は。」
「誰のせいだと思ってるんです・・・?」
あ〜あ、火に油を注ぐような事を・・・。
「毎度思うのだが暴力はいけないと考えるね、私は。」
「口で言っても理解できない獣には鞭を打つしかないでしょう?」
「いやいや゛飴と鞭″という言葉があるじゃないか。しかし浅井は鞭しかくれないだろう?あまり厳しいというのも考えものだとではないかね?」
「あのですね!、「もう止めてくださいって!あれですよ、ミソかけ論じゃないですか。」
紅蓮が二人の間に割って入る。


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