三 | ナノ 朝の清々しい空気。……俺とは無関係だった。
遅刻常習犯の俺は、今日も今日とて走って学校へ行く。
風情もくそも無い。
「あれ?」
校門の前にあいつが立っていた。滝澤が。
「おはよ、おまえも遅刻?」
「……。」
困ったように首を傾げて、少し迷ってから滝澤は肯いた。
「えーとていうか……入るのか? いくなら一緒に行こうぜ。」
自分でもおせっかいだとは思ったが、如何してもこいつのことが気になる。
夢にも出てきたくらいだ。
よく、わからないけれど。
「……。」
答えは返ってこなかった。
本人もどうやら迷っているようだ。
「たまにはいいじゃないか。なんなら、俺が守ってやるよ。」
「……!?」
目を丸くして滝澤は遠慮がちに俯いた。
「いいから、いこうぜ!」
無理やりに手をとって、既に閉まった門をよじ登る。
意外と運動神経が良いらしく、滝澤は軽々と門を超えてみせた。
二人で、静まった校舎内へと赴く。
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