誰かいますか2 | ナノ
彼は嫌な予感がしたものの、『いる』と答えることにした。
「おおい、昭歳ー? いないのか?」
「誰かいますか。」
彼は生唾を苦労して嚥下すると、恐怖を孕んだ声音で答えた。
「います。」
そう答えた瞬間、なにもかもから解放されたような気分になり、どっと汗が噴き出た。
へたり込んだ床へと、暗い色の染みが点々と描かれていく。
「ありがとう。」
何処かからそんな声が聞こえてきたような気もしたがそれどころではなく、彼は茫然と冷たいコンクリートの床から腰を上げられなかった。
「な、なんだったんだ……。」
やっとのことで大きなため息と共に不安を吐き出すと、彼は鮮やかな染みが増えていることに気がついた。
何処かからか誰の声も聞こえなくなったが、もしや……。
彼は慌てて鍵を開け、ドアノブを捻った。
鮮やかな色の中で、友人は溺れ死んでいた。
その傍では、仇を討ちとったような誇らしさで、きらきらと灯に照らされた刃が眩く光っていた。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -