リンロイ二 | ナノ
「傷の男さン!」
と、傷の男の後ろから白黒の小さい猫を肩に乗せた小さな女の子が走ってきた。
傷の男を呼んだということは、敵、なのか・・・?
『・・・訛り・・・シンの者か!?』
「ぬんっ!」
「ぐあっ・・・っ!」
「リン!!」
くそ、あの子に気を取られたのがいけなかったか!
「大佐!いけません!」
中尉が止めるが、聞いている暇はない。
早く助けなければ―――「来る、ナ!」
リンは素早く起き上がり、言いながら傷の男の足を切った。
「ぬあああああ!!」
「す、傷の男さん!いけない、早く手当てしないと・・・一旦引きまス!」
そう少女が言ったかと思うと、鉄の矢のようなものがあちらこちらに突き刺さり、唐突に煙幕が辺りを包み込んだ。
くっ・・・待て!
しかし煙幕で一寸先も見えない上、声を出してこちらの位置が気取られ万が一攻撃をされる可能性もある・・・。
視界が晴れた頃、中尉が後ろから声をかけてきた。
「大佐!ご無事ですか!」
「ああ、私は無事・・・リン!」
視界の端に、彼の姿を捉えはっとする。
「げほっ・・・う、かは、」
リンは苦しそうにうずくまり、血を吐いた。
(くそ!俺としたことが・・・まだまだだ!この程度じゃあ民を守ることなど―――)
「おい、しっかりしろ!どこが痛む!?」
「・・・いや、大丈夫だ。大佐が無事で良かっタ。」
「・・・ありがとう。だが大丈夫なわけがないだろう。
傷の男は屈強な錬金術師を殺してきた強い輩だ。軍の病院で治療をしなければ。中尉!」
車を早く!
「はい!」
今すぐに用意します。
「大丈夫だって〜これしきの事で倒れてはいられないからネ・・・。」
「・・・・・・。」
どういう意味だ?
「大佐、乗ってください。」
「ああ。」
短く返事をしてリンを乗せ、病院に向かう。
血は殆ど出ていないものの、顔色は悪いし相当辛そうだ。
骨を折ったのかもしれない。



病院でみてもらうと、肋骨の骨折と打撲だった。治るのにひと月程かかるらしい。
「あれ、大佐?」
聞き覚えのある声へと振り向くと、腕に包帯を巻いた鋼のがいた。

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