武士参四 | ナノ
「気持ちはありがたいが大の男が・・・赤子ではないのだから。」
「そうかな?じゃあ肩貸すよ。」
「すまん。助かる。」
紅蓮に肩を貸してもらう。
「あ、買い物・・・。」
折角彼方此方歩き買ったものだ。しかも未だ秋山の櫛を買っていない。
「あー、善いって善いって!あとで俺が取りに行くから。」
紅蓮が明るく笑う。
「しかし面倒であるし、未だ買い物が済んでいないし・・・。」
「それも俺がなんとかするからよ!大体滝澤が捻挫したのは俺のせいでもあるし、さ。」
「そんなことは無い。おれの不注意だ。自業自得だ。気に病むな。」
「・・・じゃあ、共犯ね。」
紅蓮は悪戯っぽく笑う。
「『共犯』の使い方を間違えているぞ。」
「細かいよ。」
肩を貸して貰いながら、ゆっくりと屯所へと、歩く。
独りと二人で、歩く。



屯所に着いた。
「もう少しで休めるからな!」
「待て、谷在家局長にこの事を報告しなければ。今後のおれの仕事についても話さなければならん。」
「滝澤は部屋で寝てて俺が局長呼べばいいじゃんか。」
「其れでは失礼だ。
もうおれ独りで良い。紅蓮は休んでくれ、ありがとう。」
「・・・わかった。なんかあったら言ってくれよな。」
「・・・・・・。」
未だ不服そうではあったが、紅蓮は向こうの方へ駆けていった。
溜め息を吐き、局長室へ向かう。



「・・・そうか。痛みは?」
「問題ありません。 」
「・・・紅蓮からもう聞いてるが。一週間は安静だと。」
・・・余計な事をしてくれた。これでは仕事ができない。
事務仕事は今それほど無いし・・・。
「おまえは自分を蔑ろにし過ぎだ。仕事はみんなで補えるが、怪我はそうもいかない。
これは命令であり仕事だ。
なにか些細なことでも変わったことがあったら言え。
安静にしたまえ。
わかったな?」
谷在家にそう言われ、挙げ句命令となると破るわけにもいかない。
「はい・・・。」
「まああんまり周りのことは気にするな。こういう時でもないとゆっくり休めないだろう。」
「ですが・・・。」
「いいからいいから。おとなしくしていたまえ。」
「・・・では、失礼致しました。すみませんでした。」
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