落下音3−a | ナノ
確か、同じ携帯会社にして、お互いの場所を知れるGPSも登録をした筈。
携帯電話からだから、チサトの位置はわかる筈だ。
私は作業を始めた。
最近、携帯電話を買い換えたばかり。
古いほうの携帯が、同じ携帯会社の携帯電話。
だから、通話を切る必要もない。
運が良かった。
捜しながら、チサトの話に耳を傾ける。
「その、おれ―――いじめに遭ってたんだ。」
「えっ・・・!?」
そんなの、全然気がつかなかった。
そんな様子、微塵も見せてくれなかった。
・・・馬鹿だ、私。
親友が悩んでいたのに、気が付けなかっただなんて。
「でさ、毎日毎日…
罵られた。蹴られた殴られた。
漫画みたいのもあった。机に落書きされたり、変な噂立てられたり、画鋲で刺されてゴミ収集所に閉じ込められたりされてっ……ッッ!!」
最後の方は、まくし立てるような早口だった。
チサトの位置がわかり、私は深夜の街を走る。
閑静な住宅街を、チサトのいるところ…地元の高校へ、駆けた。
悲痛な叫びは、今も尚続いていた。

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