自殺部9 | ナノ
「はあ、はっ・・・もうすぐだよ。」
「お、マジか・・・はあ。」
走って、山の中まで走ったからもう疲れた・・・心臓が凄くドクンドクンしている。
「あのね、私の友達に会わせたいの。部活のね。先輩もいるんだよ。仲良しになれたら良いけど。」
「部活・・・?」
山岳部、とか生物部、とか?そんな話聞いたことが無い。
「心の、支えなの。」
「へーえ・・・そりゃ気になるな。」
心の支え・・・まさかカルト宗教とかマルチ商法にでも引っかかってんじゃ無いかな・・・家族が死んだ時、「この霊験あらたかなツボを買いお金を浄化すればあなたは極楽浄土へいけるようになりますよ。勿論霊力の高いものほどあなたも亡くなった家族も幸せになれます。ご家族の安らかな眠りの為にも是非お布施を・・・・・・。」という霊感商法から「簡単に稼げるの!」とか言うマルチ商法まで。
生命保険や遺産が入った時によく誘われた。
・・・あいつらは弱くて金のある人から金を毟り盗るハイエナみたいな奴らだ。
いや、ハイエナに失礼が。一度騙されて入信させられかけたから、怖さは知っている。
「・・・まさかな。」
浅井の後ろ姿を見てぽつりと呟く。
「あっ、もう着くよ!」
浅井が坂の向こうを指差す。
「ああ。」
ちょっとキツいな、この坂・・・。
登りきったそこには・・・小さな山小屋と、人が何人か立っていた。
「お久しぶりですね。」
浅井が小屋の前に立っているフードを被った一人に話しかける。
「ええ・・・あら、・・・そちらの方は・・・?」
彼女?が尋ねると、浅井は俺のことを説明する。よくは聞こえないが。
「・・・計画に、私の・・・として・・・・・・。」
「まあ・・・そうなんですか。初めまして・・・私は部長のクイーンと申します・・・。」
彼女―――クイーンが、口端をあげて笑う。
「クイーン・・・?」
「ハンドルネームだよ。ちなみに私はアリスなの。部長とセットみたいでしょ?」
浅井がこの空気には場違いな明るい笑いを俺に向ける。
「お、俺は・・・えと、・・・?」
「じゃあ谷在家は時計ウサギさんにしよっか!私たちとおそろい!」
「あ、ああ・・・。」
俺が戸惑っていると、二人は一緒に俺に手を差し出した。
そして、口を揃えて言った。

「「ようこそ、自殺部へ。」」
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