グリーン2 | ナノ


俺からバッチを奪っていった彼女。
どこかレッドに似ていたように思う。

無口なレッドと明るい彼女のどこが似ているのかと問われれば、確かにそうだと言わざるを得ないけど、表面的なそれではなく、もっと根本の、根本的な部分が似ていたように思う。

ポケモンを下手すると自分より、大事に扱っているところとか。

きっと彼女なら、レッドを越えられる。

あいつを越える役割は、俺のものだと思っていたのに、きっと彼女が越えてしまうのだろうと、そう思った。

まだ、俺の方が、彼女より強いはずなのに。











そんな俺の葛藤を知ってか知らずか、彼女は度々俺のもとを訪れるようになった。

相変わらずの明るい笑みで、開口一番、

『負けちゃいました。』

と。

その中に含まれる悔しさも嬉しさも驚きも、俺は見逃さなかったけれど。

彼女の話を聞くうちに、シロガネ山にいるのがレッドだという噂が確信に変わった。

なんで雪山で半袖なんだとか、食べ物はどうしてるんだとか色々言いたいことはあったが。

噂を聞いていた頃から俺を拒んでいた白が、そう都合よく俺を通してくれるはずがなかった。

勇気の無い臆病者の俺は、ただ彼女の話に相槌を打つことしかできなくて。

彼女には俺とレッドが幼馴染みだと話していないから、俺とレッドの関係性になど、気づいていないものだと思っていたから。

『レッドさんはもう、ボロボロなんです。』

そう言った彼女の目に、俺を責めるような色が混ざっていたことに、

少なからず、驚いた。


――――
グリーンさんは実はジム戦手加減してるという裏設定。
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