声が2 | ナノ
「みんな揃ったわね?いただきますっ。」
「いただきますっ。」
MEIKOが音頭をとり、みんなでいただきますをする。
しばらくして、マスターが頬を緩めて話し出す。
「あのな、俺の曲が今度出るKAITOのゲームに出ることになったんだよ!」
「「ええーっ!?」」
「まあ・・・!」
「マスタースゴイ!KAITOお兄ちゃんも―――」
ミクが振り向いて俺を見た。嬉しそうな顔は、すぐに寂しそうな顔に変わった。
俺が無表情だから。
「KAITO兄、嬉しくないの?」
「みんなが買うゲームにお兄ちゃんもでるんだよ?」
純粋な、悲しそうな二人の顔。
・・・そんな目で見るな。嬉しい。すごく嬉しい筈だ。
でも、マスターはこれを機にもっと歌が良くなるように俺を調教するだろう。
だが俺は声が出ない。歌えないんだ。
マスターはご飯が終われば俺を呼ぶ。
呼ばれれば俺は歌わなくちゃならない。
でも歌えない。
歌えないなら、俺はもう用無しじゃない・・・用無し?
「・・・・・・っ。」
そうか、俺、・・・歌えないVOCALOIDなんて、使えないじゃないか。
なにをやっているんだ俺は。
ご飯なんか呑気に食べて居座って・・・食費のムダじゃないか。
「KAITO?顔色悪いぞ、熱でもあるんじゃ―――、」
バシッ!!
「――――――っ!」
マスターが俺の熱を計ろうとして額に手を伸ばして・・・俺はそれを咄嗟に叩いてしまっていた。
だめだマスターに暴力振るったマスターに危害を加えるぐらいなら俺はおれは―――。
「KAITO!?」
「KAITOお兄ちゃん!」
「お兄ちゃん!?」
「KAITO兄!?」
「お、おいKAITO!!?」
俺はひとりで何処へでも行く。
火葬場でも保健所でも焼却炉でもゴミ山にでもどこへでも―――。


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