レッド1 | ナノ
絶望とは白い色をしていた。
すべてを飲み込み、自分すらわからなくさせるような黒とは違い、白はすべてを浮き彫りにした。
自分とはなんなのか。
答えのでないそれを、しかし考えずにはいられなかった。
世界の汚さが浮きだって、人の醜さが浮きだって、…自分の弱さが浮きだった。
だからきっと。
これは罰なのだ。
変えようのない自分の過去が、彼が、世界が、すべてが。
どうしようもないくらい、懐かしくて。
自分は音を失ったけれども。
…あの約束だけは。
違えることなく、守り続けようと。
心の悲鳴を、飲み込んだ。