風待ち四 | ナノ
「飲み物をお持ちしました。」
ソラがお盆からコップを出し、お色気刑事と谷在家に渡す。
「おう、ありがとう。」
「ソラありがとなっ。」
二人がソラに礼を言うと、ソラは嬉しそうにどういたしまして、と言った。それから天井を仰ぐ。
「余部さんもいりますか?」
「いや、儂はまだ命がある故是にて。」
「余部先輩、ちゃんと水分補給をして下さいよー。」
お色気刑事が心配そうに注意をすると、余部はうむ、と返事をして去って行った。
「あ、そういやソラ。今度武器の支給をしてくれるって谷在家署長が言っていたんだが・・・ソラは何にする?」
お色気刑事が目を輝かせ問うと、ソラは悩みながら答えた。
「うーん・・・とりあえずP239とH&KMkソーコムかな・・・?デザートイーグル50AEも良いんだけど、反動が強いからな・・・。」
「ああ、銃身が長い方が好きだもんね。ソラは攻撃力というよりスピード重視だし。
ウチはニューナンブとFN5−7と鬼夜と閃光弾が欲しいんだよね、あと仕込み傘。」
「日本刀また買うのか?ホント好きだなぁ。FN5−7か・・・あれは威力が強いよな、俺も一丁持ってた方が良いかもなあ。」
「刀"雪道"は前の爆弾魔事件の時にやられちゃってさ―――」
話は盛り上がっているが、銃の素晴らしさがよくわからない谷在家はやや寂しくちびちびと麦茶を飲んでいた。
「あ、もうこんな時間だ。じゃあ、失礼します。」
「ああ。」
「またなー。日射病に気を付けろよー。」
ソラが去り、部屋にしばしの沈黙が訪れる。
「・・・そういえば机にある書類は何かね?」
「ああ・・・今飛騨の団長殺人事件テレビでやっているじゃないですか。あれに似た古い事件の資料を見て、プロファイリングをちょっとしてみようかと・・・。」
「・・・なるほどな。しかし夜勤明けで疲れただろう、もう帰っても良いぞ。今のところ大きい事件も起きてないしな。」
「いや、今サボっていて何ですけど・・・まだ昨日の報告書の細かいところが―――」
「署長命令だ。休み給え。」
谷在家は優しく笑って。威厳を含めてその声は静かに部屋を伝わっていった。
「・・・それ言われたら逆らえないじゃないですか。」
お色気刑事は不満そうに口を尖らせ谷在家を睨んだ。
「偶に逆らってるじゃないか。」
「・・・・・・ふんっ。」
図星なことを言われ、言い返しづらくなってお色気刑事は寝転がった。
「・・・じゃあここで休みます。」
「帰らないのか?」
谷在家が少し驚いて聞いた。
「当直で寝不足なんで・・・家に行くまで面倒なんですよ。」
谷在家はその答えに苦笑して外を見た。
「それもそうだな・・・今日みたいな天気のいい日は昼寝日和だな。」
谷在家が呑気なことを言うので、お色気刑事は少し笑う。
「そうですね・・・。」
「寝るのかね?」
「はい。」
「おまえが寝るまで一緒にいていいか・・・?」
「!」
(・・・"谷在家署長"じゃなくて"谷在家"か・・・。なんだよその不意打ちクラッシュ・・・。)
「・・・好きにしてくれ。」
「ああ。」
お色気刑事と谷在家はお互いに背を向けていたから互いの表情はわからなかった。
でも相手の気持ちはわかるような気がした。

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