風待ち二 | ナノ
(・・・どうしよう。取り敢えず寝たままで・・・いくか?)
悩むお色気刑事に構わず、谷在家はお色気刑事にゆっくりと近付く。
(えぅ!?うう、ウチはどうすれば・・・。)
谷在家の手が、お色気刑事の―――頬に触れた。そのまま、指で優しく撫でながらお色気刑事を見つめる。
(・・・・・・あれ?ていうか、ウチの頬をつんつんするなっ!)
お色気刑事は堪えかねて目を開けた。
「・・・・・・。」
「あ、起こしちゃったか?すまんな。」
谷在家がおはよう、とお色気刑事に微笑んだ。頬には触れたままで。
「おはようございます・・・って、おはようじゃないですよおはようじゃ・・・なに他人(ひと)の頬触っているんですか?手を退けてくださいよ。」
お色気刑事は不機嫌そうに谷在家の方を向く。その顔は少し赤かった。
「ん〜?もう少しだけ。」
「駄目です。」
きっぱりと断るが谷在家は意地悪そうに微笑んだまま。
「では自分で手を退ければ良いじゃないか。何故しないんだね?」
「・・・本当に他人の揚げ足を取るのがお好きですね、谷在家署長は。」
頬を谷在家の手を押し返すように膨らませ、皮肉を言ってみたが谷在家は未だにこにこと笑っていた。
「残念だね。お色気刑事は何故か右頬をつんつんされるのがあまり好ましくないみたいだから・・・ここぞとばかりに思ったんだが。・・・不服かね?」
「・・・・・・。」
なんとなく口では言いたくなくて。お色気刑事は谷在家の問いに目で答える。
お色気刑事と目が合うと、谷在家は苦笑して肩をすくめた。
「不服か。悪かったよ。」
谷在家はお色気刑事の頬を撫で、指を離した。
「コート脱がないのか?それは厚めの生地だし下には黒いシャツ。暑いと思うが。」
谷在家がなんの気なしに、といった口調で聞いた。
「・・・いや、着ていたいんです。・・・なるべく厚くて丈夫なものを着ていた方が僅かでもダメージが減りますからね。・・・刺された時とかに。」
お色気刑事が苦笑いで問いに答える。谷在家は表情ひとつ変えずに言った。
「そうか。そういえば昔冬に起こった傷害事件で厚着をしていたために深く刺さらず一命を取り留めた・・・そんな事もあったな。」
「ええ。そこからウチも・・・。」
少しの沈黙。


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