05月01日(日)20時41分 の追記




疲れた。本当に疲れた。


先ほどから脳内でエンドレスリピートしているその言葉を再び反芻しながら今日の出来事を振り返りながら悪態をつく


『何だってこんな日に限って』


珍しくスムーズに仕事が進み、この調子なら定時には上がれそうだと思いながら鼻歌交じりにパソコンのキーを叩いていると、どうやら今日中に仕上げなければならない書類の処理を忘れていたらしい上司が娘の誕生日だから早く帰らねばならないんだと泣き付いてきたのだ
そしてこちらの了承を得ぬまま書類だけをおいてさっさと帰ってしまったのだ

それだけなら良かったのだが、その後新人のミスの尻拭いの手伝いやクレームの対応などに追われた結果、定時をだいぶ過ぎた時間になってしまったのだった


『そもそもあの人が書類の処理さえ忘れていなければここまで大事にはならなかっただろうに』


そうこう考えているうちに家の前へとたどり着く
取りあえず忘れようと思いながらドアを開けると

「お帰り、成神」


割烹着の天使が出迎えてくれた。


あまりにも急な出来ごとに軽くフリーズしていたが「どうした?」という心配そうな声に意識を取り戻す

「どうしたはこっちのセリフですよ、源田先輩!」

目の前の天使、もとい成神の妻(?)である源田幸次郎に声を上げる

「え?俺…何かしたか?」

おろおろと辺りを見回す幸次郎に慌てて

「いえ…そういう訳ではなくて!その格好のことですよ! 」

「あぁ…これか、今日押し入れを整理してたら出てきてな、しまいっ放しで使ってなかったからたまには使ってみようかと思ったのだが」

似合わないかと苦笑する幸次郎だが、成神の反応は全く逆のものであった
「そんなことないですよ!似合ってます!物凄く似合ってます!!」

普段のエプロン姿とは違う新鮮さや物珍しさもあるが、何より幸次郎には割烹着がとても似合っていたのだ

「そ…そうか?」

「そうですよ!ただでさえ普段から可愛いのに、こんな…!」

予想外の反応に少々、いや大分恥ずかしい思いをしてしまい流石にいたたまれなくなったのか、取りあえずご飯よそったりするからと台所へ引っ込んで行った幸次郎を見送りながら、今日は良い日だと先程までの鬱々とした気分から一転し意気揚々と成神はリビングへ向かった。





割烹着は正義





『先輩!一生のお願いです!』

『どうしたんだ、急に改まって?』

『裸エプロンならぬ裸割烹着をして下さい!!』

『……』

『1回だけ!1回だけで良いですから!』






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