「なあユズ」
「ん?」
「お前、その、いつから俺が好きだったんだ…?」

食事中のこと、キリト君は突然そう言った。
覚悟はしていた。自分から女としてみて欲しいって言ったんだから、いつかは聞かれると思っていた。
けれど、

「わかんない…」
「そっか…」

彼は困ったように笑いながら手を伸ばし、優しく私の髪をなでる。
ごめんね、気付いたら、もう好きだった。
いつからだろう、お兄ちゃんがお兄ちゃんとして見られなくなったのは。
わからない、わからない、けど、

「でもね、妹扱いが嫌だったわけじゃないよ。お兄ちゃん、和人君にとって妹だったからこそ、こんなに近くにいられた。悲しいけど、すごく、嬉しかった…」
「ユズ…」

気付けばキリト君の撫でる手が止まっていた。
ねえ、そんな顔しないで。なんでキリト君が苦しそうな顔するの。
嘘じゃない。私は本当にそう思ってるよ。
だけど、だからこそ

「でも、これからはね、和人君にちゃんと一人の女としてみてもらいたい。アスナさんにはどうしても劣るけど、でも、私、負けたくない…!」

目の前のキリト君をじっと見つめる。
全身黒尽くめの、ビーターで凄腕な剣士。それが、ここでの彼。
この世界でのキリト君しか知らない、和人君を知らない人にだけは負けたくない。
私はもう、和人君の妹じゃない。
キリト君を、桐ケ谷和人君を好きになった一人の女。
いってやるんだから。

「だから、覚悟しといてよね、和人君」

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