2013/09/18
無題
いつも
ココに何日居るのか、正直既に分からない。ここで生きていられていることも、正直な話奇跡だ。投げつけた黄瀬の携帯端末は破損することはなく、無事形をとどめていた。画面に傷さえ入っていない。
持ち物は黄瀬が持っていたボールペンと五十円玉、そして、壊れなかったスマホ。そして、俺のジャージのポケットに入っていた、数枚の紙と、頼るかどうかを悩む幼馴染からもらった護符だった。
捕まった後、俺は肩からバッサリと、包丁で切られた。だが、ジャージの摩擦力は思ったよりも強く、それは致命傷には至らない、それでも皮膚は裂けたのだが。

俺はなんとかその時逃げ延びた。逃げ延びなければ良かったと、今になってみれば思う。だけど、それと同じくらい、逃げ延びることができてよかった、そう思う。

もうすぐ外は満月のはずだ。その日を超えれば、笠松は、俺の庇護下にある必要がなくなる。俺がいなくても、生きていけるようになる。そして、笠松の生命力が弱くなったとしても、俺のを贈与できるように、術を組み立てる時間ができた。

「・・・笠松、生きろ。」

俺は逃げて、障子のある部屋に転がり込んだ。そして、幼馴染に教えてもらった護符をボールペンで素早く書き上げ、入り口に封をした。ついで部屋の一番丈夫そうなところに囲みを作り、そこを重点的に清めるまじないを施した。そして、その周りに、追加した札を並べた。正しく術を行使できたらしい証明として、札は勝手に折れ曲がり、楔のように畳に固定された。俺を囲んで。



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