2013/09/14
無題
みやじともりやま

雨の日は憂鬱だ。よく聞くセリフで、実際それを否定する気はない。
ただし、肯定する気もない。
俺が雨の日で嫌いなことは髪が跳ねること。じとじととシャツが湿ること。靴に水がたまること。場合によっては激しい雨音。濡れる廊下。暗すぎる空。生暖かったり寒かったりする外気。一面の銀。

「お前、昨日、よく眠れたか?」
「・・・イヤ、なんか、眠れなかった。」
「ふぅん?」

オフが久しぶりに重なって、しばらくぶりの休日。携帯のアドレス開いて確認して、適当に押した相手に予測変換で出来上がって文章を送ったら、面白いことになって、今の状況になった。



雨だな、遊びたい、暇だ、勉強し
ろ、疲れた、ライブ行きたいけど
いけないから遊び来い。


送った相手は何の因果か、何時登録したかもわからない森山由孝というアドレスで、正直無事メールが付いたことにも驚きだった。交換してから一回も使っていないメールアドレスって。・・・まぁ、あるものなのかもな。


どうした、宮地珍しいな。
そして雨?
今日は雨降ってないだろ?
明日は雨だろうが。
お前、なんか疲れてるのか?
変だぞ?
愚痴くらいなら聞いてやるから。
明日暇だし。


正直申し訳なく思ったのが昨日の話だ。そして、きょう、本当に森山由孝を家に招いている。特に接点のない相手で、特に話すことがなくて、互いにどうしようかと、変な沈黙が流れては、顔を見合わせて、また沈黙が始まる。

「そういえば、今日、大雨警報出てたな。」
「・・・は?」
「大雨。」

何気なく窓の外を見ながらつぶやけば、森山が悲愴感をはらむような声で聞き返してきた。

「それ、電車大丈夫な程度か?」
「大雨だぞ?警報レベルの。」
「・・・アウトなほうか!?」

森山が多少涙ぐんだような声を上げて、驚いてみれば少しばかり顔を青くしたそれが見えて、思わず笑ってしまう。

「さあな。知らねーけど、帰れなかったら泊まっていけばいいだろう?」
「え?」
「え?」
「え?」
「あ、いや。」

漸く会話が少しできたと思ったのに、再び意味にない沈黙が、二人を襲った。

「・・・えっと、誰か呼ぶか?」
「あ、えっと、俺といてもつまらないよな。」
「あ、いや、そうゆーことじゃなくて、俺、よく考えたら何も考えてなくてさ。」


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