Gift | ナノ

泣いちゃった外科医
※ローくんが泣いてるよ



頬を伝っていく『何か』を理解したのはなまえが目を見開いて己の名前を呟いた時だった。
肌を伝っていくそれはタンパク質と水…あぁ、それとリン塩酸が混ざっていたか。取り止めも無い言葉の羅列が脳内を右から左へと流れていき、その間も己の意志に反して生温い雫は落ちていくのだった。
ぽと、ぽと、と頬を通っていくだけでは止まらず遂にはシーツに小さく丸い染みを作っていく。

なまえが流す雫と、己のそれ。
同じだが、違う。尊さが。
なまえの何処までも澄み切っている雫に心の拠り所を見つけてしまったからには、もう他のものなど有象無象としか感じない。
ただの水分、リゾチーム、アルブミンそのた諸々の化合物達。

けれど、どうして、己は、なまえ。

「止まらねェ…。」



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